こんにちは、にどねゆうきです。
流行語大賞というものが毎年行われていますが、
ビジネス界でも「やたら流行る言葉」というのがあります。
「その言葉を言っておけばそれっぽくなる」
「その言葉を出せば(ニュース記事の)クリック数が稼げたり、ビジネス誌が売れる」
そんな言葉たちです。
例えばコロナ禍の今ですと、よく目にするのは「ジョブ型雇用」でしょうか。
その少し前からだと「SDGs」。
もう少し戻ると「人生100年時代」あたり。
どの言葉も非常に意義があることばだと私は個人的にも思っていますし、日々勉強をしています。
今挙げた3つもどれも中身のあることばかりで、
今後の企業活動において向き合っていかなくてはならない部分です。
ただ、この概念がすべて目新しいものかというとそうとも限らないんですよね。
1つ目の「ジョブ型雇用」については、私は学部の労働経済学の講義で学びました。
終身雇用に近い「日本型雇用」と、労働市場の流動性が高い「米国型雇用」は古くからのテーマですね。
2つ目の「SDGs」については言うまでもなく、そもそも「持続可能な開発目標」を横文字にしたものです。
グラフィカルな17の目標は2015年の「国連持続可能な開発サミット」に採択されたものですよね。
いかに分かりやすく伝えるか。取り組みの拡大の契機として、非常に素晴らしいと思います。
特に民間企業をしっかりと巻き込み、経済的動機付けを明確に行っていくという点で『本当に世界を変えるぞ』という意気込みを感じます。

こうした環境問題と開発についての取り組みを少し振り返ると、
1972年ストックホルムでの国連人間環境会議で問題提起がなされ、
1992年にリオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議(地球サミット)では「持続可能な開発」を人権、人口、社会開発、人間居住の問題と関連づけて問題提起されました。
中学校の社会のテストでよく出てきた気がします。
ストックホルムのほうとリオデジャネイロのほうの名前、
どっちがどっちだったか分からなくなるんですよね。
当時は意味も分からず丸暗記していましたが「人間環境会議」が「環境開発会議」になるあたり、環境問題と人類の成長(開発)とをいかに共存させていくかというところにテーマが移っていることがよく分かります。
おそらく先生もそう言っていたと思うのですが聞いてませんでした。ごめんなさい。
こうした「環境と持続可能な開発」という切り口が、今日の2030アジェンダに繋がっています。
どちらもずっと人間の社会活動における重要なテーマであり、
わりとメジャーなテーマとして取り上げられ続けてきたものですが、時代の中でその必要性から更なる注目を浴びているというのが現在かと思います。
ただ、言葉には恐ろしいものがありとにかく独り歩きします。
とりあえず何かあればジョブ型雇用ジョブ型雇用と、コロ助の「ナリ」ぐらい発する中堅社員。
(だいたい働かない年配おじさんの高給が気に入らない)
それに(自分はビジネスの潮流を理解していると思っている)役員が乗ってしまい、
検討され始める人事制度改定。
おじさんの給料は下がり、そして優秀な若手の給料を上げる気もさらさらなく、
そしてひっそりと実は優秀だったベテランが「ここに未来はないな」と社を去っていき、
そして優秀な若手は複業をはじめ会社を踏み台にして自分の市場価値をどんどん高めていきます。(そして独り立ちする未来)
全部適当に書いてますがそんなこともあるかもしれません。
またSDGsも地球環境と開発のバランスが崩れているなか、
どうすれば自社の企業活動をどう永続させていくかを考えに考え、
国連の考え方に賛同し積極的な取り組みを決めた担当者がいる一方で、
その結果として「ということでバッジつけて」と言われ
意味も分からずバッジをつけているおじさんが平気で街で環境破壊をやらかしていきます。
もはやTwitterでネタ扱いされ発展を見せています。
今後もSDGsバッジネタから目が離せません。
そんなこんなで、言葉や概念というのは流行りすぎるとその原点や本質と乖離し、
なんだか滑稽なことになっていくのですね。
これが流行の恐ろしいところです。言葉は生きているのです。
3つ目の言葉、「人生100年時代」については
まさにそんな「言葉の独り歩き」の怖さを思い知らされます。
言うまでもなく、2013年「ワーク・シフト」でおなじみの
ロンドンビジネススクール教授 リンダ・グラットンさんと
同じく教授のアンドリュー・スコットさんによる2016年の著作
「ライフ・シフト」によって一躍知られることになったこの概念。
こちら漫画で解説なども多数出ていますが、
それほど難しい本ではないのでぜひ原著を読んで頂きたいです。
概念をただ受け取るというより、
読み進めながらぜひご自身の人生・生き方について考えて頂きたいなと思います。
平均寿命が延びていき近い将来100年を越えるなかで、
「教育→仕事→引退」といったこれまでの「人生70年の生き方」が変わり、
生涯にいくつものキャリアを持つようになったり、死ぬまで働き続けるようになったりする。
そうした「マルチステージ」の人生へと生き方が変わっていく中で、
私たちはどうすれば幸福に生きることが出来るだろうか、ということがテーマです。
そうした中で、長く生きるようになるとお金だけが大事ではないというのがより強くなるよ、ということで「有形資産」「無形資産」という概念が紹介されています。
とりわけこの本で注目しているのは「無形資産」。
要するに、お金のような「いわゆる資産」=「有形資産」だけでなく、
「健康」であったり、
「人間関係」であったり、
「スキル」であったりといった、
目には見えないし計量も出来ないがその人が持っている資産が人生を豊かにする上でとても大切だと言っているのですね。
ところが、冒頭に紹介した厚生労働省の「人生100年時代」の話は、
もちろんリカレント教育なども主軸なので無形資産の形成にも十分に配慮されているのですが、
どうしてもお金の話が中心になります。
そんな話がいつしか「老後資金2,000万問題」になり大炎上してしまいました。
平均寿命が延びていくことが悪とまでされるように。どうしてこうなった...
あまりにも人生100年時代という単語がキャッチ―過ぎた結果、
言葉が独り歩きしてしまい、100年生きるとなったときの「不安」にばかり目がいき、このような形になってしまったのではないかと思います。
そして令和のいま、流行りに流行っている言葉がDX、すなわちデジタルトランスフォーメーションです。
しかしながら、この言葉ほど「実はよく分かっていない」「ふわふわしている」ものもなかなか無いのではないでしょうか。
それでは本日はこのDXについて考えていきたいと思います、というつもりだったのですが
ずいぶん前置きが長くなりましたので、次回の記事でこのDXの本質について考えてみたいと思います。
流行るからには理由がある。
「ジョブ型雇用」「SDGs」「人生100年時代」同様に、
「DX」も非常に本質的な課題感に根差した考え方です。
「とりあえず流行語おじさん」にならないよう、しっかりと考えていきましょう。
(※こちら本当にお勧めの一冊です。人生を考える一冊として未読の方はぜひご一読ください)
流行語大賞というものが毎年行われていますが、
ビジネス界でも「やたら流行る言葉」というのがあります。
「その言葉を言っておけばそれっぽくなる」
「その言葉を出せば(ニュース記事の)クリック数が稼げたり、ビジネス誌が売れる」
そんな言葉たちです。
例えばコロナ禍の今ですと、よく目にするのは「ジョブ型雇用」でしょうか。
その少し前からだと「SDGs」。
もう少し戻ると「人生100年時代」あたり。
どの言葉も非常に意義があることばだと私は個人的にも思っていますし、日々勉強をしています。
今挙げた3つもどれも中身のあることばかりで、
今後の企業活動において向き合っていかなくてはならない部分です。
ただ、この概念がすべて目新しいものかというとそうとも限らないんですよね。
- ジョブ型雇用とSDGs
1つ目の「ジョブ型雇用」については、私は学部の労働経済学の講義で学びました。
終身雇用に近い「日本型雇用」と、労働市場の流動性が高い「米国型雇用」は古くからのテーマですね。
2つ目の「SDGs」については言うまでもなく、そもそも「持続可能な開発目標」を横文字にしたものです。
グラフィカルな17の目標は2015年の「国連持続可能な開発サミット」に採択されたものですよね。
いかに分かりやすく伝えるか。取り組みの拡大の契機として、非常に素晴らしいと思います。
特に民間企業をしっかりと巻き込み、経済的動機付けを明確に行っていくという点で『本当に世界を変えるぞ』という意気込みを感じます。

こうした環境問題と開発についての取り組みを少し振り返ると、
1972年ストックホルムでの国連人間環境会議で問題提起がなされ、
1992年にリオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議(地球サミット)では「持続可能な開発」を人権、人口、社会開発、人間居住の問題と関連づけて問題提起されました。
中学校の社会のテストでよく出てきた気がします。
ストックホルムのほうとリオデジャネイロのほうの名前、
どっちがどっちだったか分からなくなるんですよね。
当時は意味も分からず丸暗記していましたが「人間環境会議」が「環境開発会議」になるあたり、環境問題と人類の成長(開発)とをいかに共存させていくかというところにテーマが移っていることがよく分かります。
おそらく先生もそう言っていたと思うのですが聞いてませんでした。ごめんなさい。
こうした「環境と持続可能な開発」という切り口が、今日の2030アジェンダに繋がっています。
どちらもずっと人間の社会活動における重要なテーマであり、
わりとメジャーなテーマとして取り上げられ続けてきたものですが、時代の中でその必要性から更なる注目を浴びているというのが現在かと思います。
ただ、言葉には恐ろしいものがありとにかく独り歩きします。
とりあえず何かあればジョブ型雇用ジョブ型雇用と、コロ助の「ナリ」ぐらい発する中堅社員。
(だいたい働かない年配おじさんの高給が気に入らない)
それに(自分はビジネスの潮流を理解していると思っている)役員が乗ってしまい、
検討され始める人事制度改定。
おじさんの給料は下がり、そして優秀な若手の給料を上げる気もさらさらなく、
そしてひっそりと実は優秀だったベテランが「ここに未来はないな」と社を去っていき、
そして優秀な若手は複業をはじめ会社を踏み台にして自分の市場価値をどんどん高めていきます。(そして独り立ちする未来)
全部適当に書いてますがそんなこともあるかもしれません。
またSDGsも地球環境と開発のバランスが崩れているなか、
どうすれば自社の企業活動をどう永続させていくかを考えに考え、
国連の考え方に賛同し積極的な取り組みを決めた担当者がいる一方で、
その結果として「ということでバッジつけて」と言われ
意味も分からずバッジをつけているおじさんが平気で街で環境破壊をやらかしていきます。
SDGsのバッジを付けた集団が鰻屋に入っていったので持続可能性について考えさせられた。
— はむ弁護士 (@hamhambenben) May 17, 2021
もはやTwitterでネタ扱いされ発展を見せています。
今後もSDGsバッジネタから目が離せません。
以前銀座のクラブでSDGsのバッジを付けたオッさんのグループを見かけたのですが、女の子の太ももとかおっぱいとかめっちゃ触ってました。
— ボヴ (@cornwallcapital) May 17, 2021
そんなこんなで、言葉や概念というのは流行りすぎるとその原点や本質と乖離し、
なんだか滑稽なことになっていくのですね。
3つ目の言葉、「人生100年時代」については
まさにそんな「言葉の独り歩き」の怖さを思い知らされます。
言うまでもなく、2013年「ワーク・シフト」でおなじみの
ロンドンビジネススクール教授 リンダ・グラットンさんと
同じく教授のアンドリュー・スコットさんによる2016年の著作
「ライフ・シフト」によって一躍知られることになったこの概念。
こちら漫画で解説なども多数出ていますが、
それほど難しい本ではないのでぜひ原著を読んで頂きたいです。
概念をただ受け取るというより、
読み進めながらぜひご自身の人生・生き方について考えて頂きたいなと思います。
平均寿命が延びていき近い将来100年を越えるなかで、
「教育→仕事→引退」といったこれまでの「人生70年の生き方」が変わり、
生涯にいくつものキャリアを持つようになったり、死ぬまで働き続けるようになったりする。
そうした「マルチステージ」の人生へと生き方が変わっていく中で、
私たちはどうすれば幸福に生きることが出来るだろうか、ということがテーマです。
そうした中で、長く生きるようになるとお金だけが大事ではないというのがより強くなるよ、ということで「有形資産」「無形資産」という概念が紹介されています。
お金の問題がすべてではない
著者二人の専門は、それぞれ経済学と心理学だ。
この二つの視点は、互いに相容れないものではない。
むしろ、100年ライフが到来することの影響を理解しようと思えば、両方の視点を統合する必要がある。
長い人生を幸せで生産的なものにするためには、合理的な選択をおこない、変化を盛り込んだ計画を立てなければならない。
しかし同時に、未来の人生を形づくる要素としては、個人のアイデンティティと社会的な要因も無視できないのだ。
よい人生を送りたければ、よく考えて計画を立て、金銭的要素と非金銭的要素、経済的要素と心理的要素、理性的要素と感情的要素のバランスを取ることが必要とされる。
100年ライフでは、お金の問題に適切に対処することが不可欠だが、お金が最も重要な資源だと誤解してはならない。家族、友人関係、精神の健康、幸福などもきわめて重要な要素とされる。
長寿化をめぐる議論は、お金の問題に偏りすぎている。
100年ライフへの備えは、資金計画の強化だけで事足りるものではない。
スキル、健康、人間関係といった資源が枯渇すれば、長いキャリアで金銭面の成功を得ることは不可能だ。
その一方で、金銭面で健全な生活を送れなければ、お金以外の重要な資源に時間を投資するゆとりをもてない。
金銭面と非金銭面のバランスを適切に取ることは、短い人生でも難しい。
人生が長くなれば、それはいっそう難しくなるが、バランスを取るための選択肢が広がる面もある。
(p24,リンダ・グラットン,2016,東洋経済新報社)
とりわけこの本で注目しているのは「無形資産」。
要するに、お金のような「いわゆる資産」=「有形資産」だけでなく、
「健康」であったり、
「人間関係」であったり、
「スキル」であったりといった、
目には見えないし計量も出来ないがその人が持っている資産が人生を豊かにする上でとても大切だと言っているのですね。
ところが、冒頭に紹介した厚生労働省の「人生100年時代」の話は、
もちろんリカレント教育なども主軸なので無形資産の形成にも十分に配慮されているのですが、
どうしてもお金の話が中心になります。
そんな話がいつしか「老後資金2,000万問題」になり大炎上してしまいました。
平均寿命が延びていくことが悪とまでされるように。どうしてこうなった...
あまりにも人生100年時代という単語がキャッチ―過ぎた結果、
言葉が独り歩きしてしまい、100年生きるとなったときの「不安」にばかり目がいき、このような形になってしまったのではないかと思います。
- 令和のビジネス流行語「DX=デジタルトランスフォーメーション」
そして令和のいま、流行りに流行っている言葉がDX、すなわちデジタルトランスフォーメーションです。
しかしながら、この言葉ほど「実はよく分かっていない」「ふわふわしている」ものもなかなか無いのではないでしょうか。
それでは本日はこのDXについて考えていきたいと思います、というつもりだったのですが
ずいぶん前置きが長くなりましたので、次回の記事でこのDXの本質について考えてみたいと思います。
流行るからには理由がある。
「ジョブ型雇用」「SDGs」「人生100年時代」同様に、
「DX」も非常に本質的な課題感に根差した考え方です。
「とりあえず流行語おじさん」にならないよう、しっかりと考えていきましょう。
(※こちら本当にお勧めの一冊です。人生を考える一冊として未読の方はぜひご一読ください)