大人エレベーター

こんにちは、にどねゆうきです。

サッポロビールのTVCM「大人エレベーター」。皆さまご存知でしょうか。


魅力ある大人たちに出会える、「大人エレベーター」へようこそ。
「大人ってなんだ?」その答えは、ここにあるかもしれません。
大人の会話を、ゆっくりお楽しみください。



正直なところ、TVCM版だと何が何だか分からないうちに終わってしまって、なんか雰囲気は良いけど何言ってるのかよく分からないという印象でした。
広告会社が大広さんで、制作会社がライトパブリシティさんで、ああ...いかにもTVCMって感じ...というイメージです。

今もやっているかどうかも定かではないというぐらいの認識だったのですが(やってます)、ある日図書館に行くとなんと書籍版の「大人エレベーター」が。
思わず手に取り読んでみたら、これがなかなか面白かったので紹介させて頂きます。



  • 書籍版「大人エレベーター」とは
大人エレベーター
扶桑社
2014-07-16


こちらの書籍版「大人エレベーター」、TVCMで行われているトークについて全て文字起こしをし、やり取りをまとめたものです。

インタビュアー(ナビゲーター)は俳優の妻夫木聡さん。
インタビューを相手は様々な分野で活躍されている「大人」たちです。以下、書籍版に収録されている皆さまについて表紙より転記させて頂きます。

なお「年齢の階にその人がいる」という設定なのか、年齢表記はフロアの回数で示されます。洒落てますね


navigator:妻夫木聡さん
54階:中村勘三郎さん&Charさん
46階:リリー・フランキーさん
77階:中城達矢さん
44階:スガ シカオさん
25階:白鵬さん
55階:佐野元春さん
64階:高田純次さん&岸部一徳さん
45階:斉藤和義さん
56階:竹中直人さん
46階:古田新太さん
47階:奥田民生さん
35階:中村俊輔さん
(※書籍版での登場順)

書籍の内容は本当に文字起こしのみで、写真もイラストも一切なしです。
それどころか解説文などもないので、全てが会話だけで展開します。

妻夫木「うんうん。」
リリー「でも、30になったら、オヤジのなかのルーキーになれるじゃん。」
妻夫木「なるほど(笑)。」
リリー「そしたらまた自分のなかの初々しさが出てくるんじゃないの。」
妻夫木「考えようですねえ(笑)。」
大人エレベーター p33より引用)

本当にずっとこんな感じです。
でもそれだけにめちゃくちゃ読みやすいんですよね。たぶん小学生でも楽しく読めると思います。(小学生に面白い内容かは別として)
amazonのレビューに『酒を飲みながら読みたい一冊』と書いてあったんですが本当にそんな感じですね。

スマホいじっているぐらいだったらこの「大人エレベーター」を読んだ方が1,000倍ぐらい美味しいお酒が飲めると思います。さすがビールのCM。



  • 「大人」について語る会話の内容がアラサーにとても響く
あまりモノを知らない人間なので、今回この書籍版に出ている方々のことをよく存じ上げておりません。
TVCM版もしっかり見たわけではないので、顔も分からない方もいらっしゃるというところが正直なところです。

ですがこの内容がとても素晴らしくて。
インタビュアーの妻夫木さんを含め、皆さま自分の気持ち・思いを言語化する能力が非常に高い方々ばかりだと感じました。やはり一流の方々は日ごろからこのぐらいモノを考え、そして人に伝えることを繰り返されていらっしゃるのでしょう。

インタビューを担当されている妻夫木さんがこの当時30歳前後だということで、今の私の年齢ととても近く、妻夫木さんが抱えてるお悩みや「大人」たちの30歳当時を振り返ってのアドバイスなどがとても染みます。

ですのでこの書籍版「大人エレベーター」、全アラサーの皆さまに「大人」についてぼんやりと考えるためにぜひ手に取って頂きたいなと思います。


  • 書籍版「大人エレベーター」での印象的な会話たち
以下、書籍版からなんとなく私の目に留まった会話を紹介させて頂きます。

私が印象的だったものなので、TVCM版にはまったく登場していないものかもしれませんし、全然とんちんかんなところを引っ張ってきているかもしれませんが、ぜひ書籍版を手に取って、この会話の数々に耳をそばだてて頂ければと思います。

以下すべて書籍版「大人エレベーター」からの引用です。

⇒54階:中村勘三郎さん、Charさん

勘三郎「そういえば、僕らも30歳ぐらいの頃、酒場なんかで先輩たちを見るとき、ものすごく年上に感じなかったですか?」

Char「見えましたね。僕が子供の頃は、大人の代表といえばオヤジでした。しかし、今、考えると当時はオヤジも20代だったり30代だったりする。かといって50過ぎてから、大人ってなんだろう、なんて真面目に考えたことはありません。
やっぱり大人ってのは、子ども時代に覚えてる大人のイメージなんじゃないですか。妻夫木さんも、子供の頃を思い返してみるとわかるんだろうけど。

妻夫木「なるほど。」


⇒46階:リリー・フランキーさん

リリー「だから、『大人』ってのは、子どもの想像の産物なんじゃないかな。自分が年取ったらこうなるだろうなっていうのが子どもがイメージする大人の姿だったわけでしょ。
でも俺、自分が子供の頃に思ってた『大人』って、大人になってから会ったことないから。

妻夫木「うんうん。」

リリー「あれは、子どもがつくった『大人』っていう架空の生き物なんだなって思うよ。だって、もっとちゃんとしてるはずだったもん、俺が想像してた『大人』は。



妻夫木「リリーさんは、恋愛になにを求めます?」

リリー「体調によるよね。」

妻夫木「あははは(笑)。」


⇒44歳:スガ シカオさん


妻夫木「お話聞いてると、スガさんって絶対に根本は変わってないんだろうなって思います。」

スガ「大人になっていくにつれて若いころのカードがいっぱいたまっていくんですよね。」

妻夫木「うん。」

スガ「で、若い頃のカードを置いて大人のカードを取る人と、若い頃のカードを持ったまま大人のカードを増やしていく人と、二通りあると思うけど...」

妻夫木「うんうんうん。」

スガ「僕は絶対に若い頃のカードをもったまま、大人のカードを増やしていきたいと思うわけ。だから、いつでも若い頃に戻れるし、いつでも大人にもなれるし、そういうカードの取り方を10年後もしたいな、そういう大人のあり方をしたいなってすごく思うんですね。」


⇒64階:高田純次さん&岸部一徳さん


岸部「うん、だからこそ、ひとりではしんどいね。生きるためには誰かがやっぱり必要。僕なんかは子どもの笑ってる顔にふと幸せを感じて救われたりする。まあ、それが誰なのかっていうのは人それぞれだと思うけどね。

高田「結局、なんだかんだで人間助け合っているのかもわからないね。野に放たれたオオカミみたいに生きていくのは、なかなか難しいもん。」

岸部「うんうん。」

妻夫木「じゃあ、今、なにをいちばん信じてますか?」

高田「今?この歳になると、腹が減ったかどうか、そんなことくらいしか信じられなくなっちゃったかな。それもいずれわかんなくなってくんだろうけどね。一徳さんは何を信じてますか?」

岸部「仕事で一緒にやる人含めて、自分の身近な人を信じてると自分が思えないとしんどいね。」

高田「ああ、それはあるね。あえて、信じようとは強く思ってないですけど、なんとなく心の底ではあるのかもわかんないね。そうしないとやっていけないところもある。ずっと人を信じていけりゃ幸せだよね。かえって幸せって、信じることかもわかんないですね。」



  • 「大人」ってなんだ?の答えに出会えるかもしれない一冊
あまりにも魅力的な会話が多すぎて、とてもピックアップしきれないのでこの辺りにさせて頂きます。
続きはぜひ、書籍版にてお楽しみください。

本当にアラサーに響く一冊だなあと思うので、私も手元に置いて折に触れて読み返すことが出来ればと思います。こうした本って、自分の年齢や考え方の変化によって感じ方が変わるのですごく面白いんですよね。

それでは最後に、公式ウェブサイトからもう一度。

魅力ある大人たちに出会える、「大人エレベーター」へようこそ。
「大人ってなんだ?」その答えは、ここにあるかもしれません。
大人の会話を、ゆっくりお楽しみください。



大人エレベーター
扶桑社
2014-07-16