ミレニアル世代の「いま」を切り取る感性―ビジュアルコミュニケーションについて考える

まじめ・勉強
こんにちは、にどねゆうきです。

昨日に引き続き、SNSにおける「ビジュアルコミュニケーション」について考えてみたいと思います。

(▼昨日の記事)

言文一致から絵文一致へ SNSにおけるビジュアルコミュニケーション | ゲームと子育て 時々にどね(にどねゆうき ブログ)

本日も読んでいくのはこちらの「#シェアしたがる心理 #SNSの情報環境を読み解く7つの視点(天野彬 著)」です。
  • 日常の中から美しさを見出す感性
ビジュアルコミュニケーションは私たちの「発信」の敷居を大きく下げてくれました

しかしながら、そもそもなぜ私たちは「発信」をするのでしょうか。
私たちは何を見つけ伝えているのでしょうか。

この本では、新海誠さんへのインタビューを通して「日常の中の美しさを見出すこと」について述べています。
2016年最大のヒットとなり海外でも人気を博している『君の名は。』を生み出した、アニメーション作家・映画監督の新海誠さんは、あるインタビューの中で日常の風景の楽しさを捉えるという感受性から、90年代のスナップ文化を眺めていたと話していた。

(略)

その当時は、政治や社会が安定していく一方で、高度成長やバブルを経て経済成長は停滞方向へ向かう、平和だが退屈な、――社会学者・宮台真司の言葉を借りれば「終わりなき日常」と呼びうるような――社会の空気があったように思われる。

そういった中で、
日常の中の見過ごされがちな楽しさや美しさをすくいとること、
何気なく続いていってしまう日常の中で素敵だと信じられるものを自分から見つけ出していくこと、
日々出会うさまざまなものに意味を見出すこと、
そしてそれをきっかけとした自分の気持ちを写真に託すということ。

そのような繊細な感性と創造力の持ち主がこの分野を駆動していった
ビジュアルコミュニケーションにはそのような下地がある。
(略)
ここまで述べてきた議論のエッセンスは、ミレニアル世代的な感性と呼応するものであると先に述べておきたい。

なお、最近の社会学の研究によれば日本の若者は未来に対しては悲観的であり、
それゆえに現代への幸福感や満足感を強く持っているのだという。

本稿では深入りすることができないが、「いま」へのフォーカスとこのようなビジュアルコミュニケーション文化とは密接に絡み合っているのだ。(p60-61,天野,宣伝会議,2017)
ここで述べられているように、私たちがSNSで発信する内容は通常「日常」のものです。
毎日がハレの日、毎日が結婚式なわけでは当然ありません。

それでも、日常を生活している中で「これをシェアしたいな」というものはたくさん出てきます。

例えば私でいえばメダカが朝ごはんを食べている様子でしょうか。

この上ない完全なる日常です。

毎日見ているものであっても、パクパクする様子が可愛くて思わず動画を録り、そしてシェアをしてしまいました。
  • ミレニアル世代とビジュアルコミュニケーション
こうした日常の中に魅力を感じ、それを取り出す力はミレニアル世代で特に強いと言われています。


・ミレニアル世代とは?
ミレニアル世代は、1981年以降に生まれ、2000年以降に成人を迎えた世代のこと。日本だと20代前半から30代後半くらいの年齢の人々を指し、ミレニアルズと呼ばれることもある。
ミレニアル世代はインターネットが当たり前の時代に育った世代(デジタルネイティブ)である。学生時代からスマートフォンを使いこなし、ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどのSNS利用にも積極的だ。2014年に行われた世界経済フォーラムで大きく取り上げられ、現在は消費行動やライフスタイル、価値観などが他の世代とは異なるとして注目されている。
私もミレニアル世代の人間です。

この特徴は世界的なものでありながらも、
特にバブル崩壊後に生まれたゆとり世代でもある日本のミレニアル世代は、こうした「未来への期待感のなさ」と「現代への幸福感・満足感」という傾向はより強いのではないかと思えます。

東日本大震災で世の中で叫ばれた「絆」も、青少年だった私たちに強烈な印象を残しました。

バブル世代の方々や高度成長期の方々のように、ただ右肩上がりに物質的な欲望を満たすだけでなく、今ここにある美しさを切り取るというのは私たちの長所なのかもしれません。

しかしながら、物質的な欲望が満たされなかった私たちそれぐらいしかすることがないと言えるかもしれないのです。

未来が悲観的だから、いま目の前にある小さな幸せを大切にする。

物質的にすべてを手に入れることが出来ないから、いま目の前にある小さな幸せをシェアして分かち合うことで、お互いに助け合いそれを満たす。

私たちはもしかして、右肩上がり世代の先輩方より幸せになることが得意なのかもしれません。

よく昔の論説を読むと物質社会に警鐘を鳴らしたりしていますが、私たちはそもそも物質を手に入れたことが無ければ、想像したこともないのです。

先輩に言わせればこれは「若者の〇〇離れ」ですが、そんなものがなくたってメダカがいれば幸せなほうがよほど豊かなのではないでしょうか。
  • ビジュアルコミュニケーションのバトンを未来へ繋ぐ
だからこそ、幸せになる手段である「ビジュアルコミュニケーション」は大切に扱わなければいけません。

コミュニケーションは時に人を傷つけることがあります。
伝える力が強く、発信の敷居も低いビジュアルコミュニケーションであればなおさらです。

ビジュアルコミュニケーションが人を不幸にし、結果として規制され排除され、それが世の中からなくなってしまうことがあってはいけません。
そんなことがあれば、私たちはお互いを助け合うことが出来なくなってしまうのです。

SNSは人のモラルに依って繁栄を極めています。

物質的に貧しくなった私たちミレニアル世代、そして未来の世代にとって、ビジュアルコミュニケーションは毎日を豊かにしてくれる大切なプラットフォームです。

気軽に「いま」の心の幸せを分かち合うことを、これからもずっと続けていくことが出来てほしいと、そう強く願います。

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