サラ・クーパー氏 著
ビジネスあるある研究会 訳
「会議でスマートに見せる100の方法」です。
会議でスマートに見せる100の方法
と、いう名のビジネスでよくある中身ないやりとりを取り上げた本です。ちゃんと意味あるところで発すれば意味はあるとは思うのですが。
イキった若手、何者かになりたい中堅、こじらせたベテラン、私、そしてこれを読んでいるあなた。みんながついついやりがちなスマートっぽいやり取りをご覧ください。
スマートに見せるための10個の主要な裏ワザ
No.2 パーセンテージを分数に言い換える (p18)
だれかが「約25%のユーザーがこのボタンをクリックしています」と言ったら、No.3 「いったん冷静になろうと提案する」 (p19)
わりこんで「つまり4分の1ね」と言いメモをとろう。
全員が同意してうなずき、密かにあなたの暗算能力に関心し、うらやむだろう。(p18,クーパー,早川書房,2016)

すぐに重ねてこう言おう。No.6 「それがなんであれ『スケールする?』と聞く」 (p22)
「私たちが本当に解決したい問題はなに?」。
ビシッと決めたら、その後1時間はなにもしなくても賢く見える。(p19,クーパー,早川書房,2016)

なにについて議論しているかに関係なく、それがスケールするかをたずねるのは効果がある。
この質問の本当の意味がだれにもわからないとしても、
どんな状況でも使え、エンジニアをどぎまぎさせることができる。(p22,クーパー,早川書房,2016)
描くだけでスマートに見える21個の無意味な図形

1.「ヴィジョン」と書いて、丸で囲む。
ヴィジョンに沿って進まなければいけないことをみんなに思い出させる。(p28,クーパー,早川書房,2016)

7.「バックエンド」「フロントエンド」と書き、
矢印でつなげて、「バックエンドをフロントエンドにつなげなければならない」と言う。
それだけで、なんだかすごく専門家っぽく見える。(p29,クーパー,早川書房,2016)

15.雲を描いて「曇りのない議論をしましょう」と言うか
「この雲を晴らすにはどうすればいい?」と聞く。
どちらにせよ、あなたはイノベーションの先導者に見える。(p31クーパー,早川書房,2016)
同僚を説得する方法
No.20 「会議についてメタ的な会話をする」 (p45)
会議を有用で、有益で、そしてとにかく有用なものにするために誠心誠意、気を配る。
その会議をより良いものとするだけのアイデアを聞いて、
次回からそれを試そうと言う(言うだけでやらない)。(p45クーパー,早川書房,2016)
電話越しにスマートに見せる方法
No.21 「全員そろっているか聞く」 (p54)
もしいなかったから、彼女は出席するべきじゃないかとたずねる。みんながあなたの細やかな配慮に感心するだけでなく、あなたは真の社交家に見える。(p54,クーパー,早川書房,2016)No.32 「他に話し合うべきことはないかと聞かれたら『いくつかあるけれどあとでメールする』と言う」 (p65)

電話会議の終わりに、司会者はすべての議題を話し合ったかを確かめようとする。
あなたはここぞとばかりに「まだいくつかあるれど、それらについてはまた別の機会に話し合おう」と言う。これにより、みんなの時間を大切にしていると思われるが、あなたからのフォローアップを待つ人は誰もいないだろう。(p65,クーパー,早川書房,2016)
たいしたことを言っていないのに、聴衆を魅了する方法
No.53 「どうとでもとれる単語を1つ載せる」 (p103)
No.56 「スライドを何枚か飛ばす」 (p106)

社交が強要される場でスマートに見せる裏ワザ
No.96 「次の四半期で一番楽しみなのはなにかと聞かれたら『イノベーション』と答える」 (p173)
(飲み会で)一番楽しみなことについての議題が持ち上がったら(絶対に持ち上がる)、イノベーションについて語る。
イノベーションに向けた努力や、イノベーションの機会についてなにかコメントする。(p173,クーパー,早川書房,2016)
蛇足
いかがでしたでしょうか。図書館でページをめくったら「それスケールする?」が出てきてしまい、
一瞬で心をもっていかれました。
この本、隅から隅までジョークか聞いていて本当に面白いです。
いま飲み会に居るのではないかと錯覚するような面白ビジネスあるあるが続々。
そのジョークは著者紹介にまで及んでいます。
著者のサラ・クーパーさんは
Yahoo!、Googleを経て現在無期限の休養中(本書の裏ワザを実践したため)また訳のビジネスあるある研究会は何をしているかというと、
日夜、ビジネス書を読み漁り、TEDを見まくることで、数々の流行語とビジネスあるあるを蓄える一方、スキルはちっとも向上しないビジネスパーソン集団とのこと。
「分かる~」と笑いつつ、自分もそうじゃないかと思ったりするので笑えないやつですね。
これだけネタにしながらすぐビジョンとか言っちゃいますし、
ホワイトボードにベン図書いたりしますからね。
それにしてもこの本読みながら本当に楽しかったです。
最近は間違いなくコロナ禍前より仕事中毒ではなくなりました。
ですが仕事のアウトプットはむしろ前よりいい感じに出てたりもして、
仕事漬けになっているのって良くないんだな、色んな豊かな体験をして、そうした日常の目線が活かされて初めて創造的な仕事が出来るんだなと世の中でよく言われていることがやっと分かった気がします。生活者の視点、みたいな。
それでもなんだか、いきなり常識が一変したのでなんだかポッカリ心に穴が開いた部分もあったりして。
この本を読んですっごく久々に(趣味や家庭とは違う感じで)楽しかったんですよね。
こういうしょうもないあるある話とかしてる時間も
本当好きだったんだなあとしみじみ思います。
アラサーからどんどん年を重ねていく自分、これからどう生きようかなあなんて思ったりもしますが、思いつめすぎずに楽しく雲を晴らせればなと思います。

(と言ってこの絵をホワイトボードに描く)